■阪口涯子の俳句

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解説・ 1


              

   ★ 阪口涯子句集・解説・井上光晴(1)


 涯子へー
 
 阪口涯子は流浪する戦闘者である。或は撃たれる人といい換えてもよい。それはむろん

「老ゲリラ無神の海をすべてみたり」

「蒼穹に人はしずかに撃たれたる」

という作品をそこにおいていうのだが、言葉だけのかかわりではなく、数十年をへだてる秀作の間に放たれる苦渋にみちた表現者の苦闘は、文字通り文学に撃たれた人間の苛烈ないきざまに裏打ちされていよう。

 1951年夏、朝鮮戦争の渦中、涯子から手渡された『北風列車』の頁を、夜店通りにある旧第一中央館の休憩時間に、私はめくった。

白い簡素な表紙にくるまれた句集をふたたび開いたのは、製氷会社の前の錆
びた桟橋である。これは癈屋でひもとくべき文学なのだという戦慄に似た思いがわが身をゆさぶったからにほかならぬ。



        苦力の子母の肩なる荷をなぐさめ
   
        巻ぶとん並べ税吏の指をおそれ  

        苦力群れ曠原北に乾燥せり

        ちよろずのかなしみの雪ふる島あり


 数年後、私はそれらの句を小説『ガダルカナル戦詩集』に「長崎医科大学附属看護婦養成所事件」の厭戦俳句として登場させているが、今、自作ノートや日記を検証すると、1957年から58年にかけて、随所に涯子の句への幼き批評を試みていることが判明する。

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  1. 2006/01/04(水) 14:57:22|
  2. ■ 『阪口涯子句集』 解説・井上光晴
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