■阪口涯子の俳句

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解説・ 2


                 

    ★ 阪口涯子句集・解説・井上光晴(2)



             海も河もしんしんと凍りわが喪章      
      
             ひと葬りぬ氷片浮ける蒼海のほとり

             にんげんの死蔓草のごときものをのこし  ・・・・・「凍河(二)」



 と、 「辺陲て(二)」を並べてみよ。


            碧落もしんしん凍る木の下よ

            冬天のもとの木椅子に寄らんとす

            施療行冬木の繊さ天に描かれ

 
 喪章にこめられた感傷をとるか、それとも木椅子の固さをよしとするか。
作としてはむしろ木椅子に及ばず。氷片浮ける一瞬、作意の様式を思うは、矢張り「リアリズム」に災いされるか。・・・・・(略)

(1957年秋ノート)

 それでいて、58年春に発表した『ガダルカナル戦詩集』の表紙に、「辺陲にて」一連の句を使用しなかったのは、木椅子の硬質をあえて避けたのかもしれない。


 「昭和十三年」より「昭和二十四年」まで、いわば遠く去り行く漁火を見送る孤独者の憂愁こそ、この句集に点滅する灰褐色の影をひきずる標灯である。



 LONGの章の冒頭、

       
            落日にこたえる落日いろのじゅうたんなし


 と、くちずさむ詩人の目の冷たい痛ましさをみよ。


            門松の蒼さの兵のズボンの折り目の垂直線のかなしい街

 定型も反定型も非定型すら無視せざるを得ない、涯子のひよわな魂。強靭とはどうあってもいいくるめることのできぬ長い昼は、恐らくこの句を境に、一瞬のうちに傾くのであろう。すると誰かがいう。


          六月の薔薇、大連にいたエミリーを悲しむ

  

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  1. 2006/01/06(金) 15:17:48|
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