■阪口涯子の俳句

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●黒の回想 わが俳句遍歴 (9)


            写真 「空木の花と麝香揚羽」 2005.6.5 丸太の森にて撮影


            黒の回想 わが俳句遍歴 (9)
  
     
   1月6日(日)ーーー雨 つづき

            しんしんと氷雨の音に南京鼠(マウス)生く

            スチームは奏で南京鼠(マウス)は恋を得ぬ

            前肢もてものかかえ喰む南京鼠(マウス)あわれ

            硝子器の南京鼠(マウス)の母子に綿をやろ

  今一寸おくめんもない感じだが、僕の第二の処女作だ。お前にはヒーメンが二つあったのかと

からかわれても致し方がない。露出癖のある僕にも第一のホトトギス流のヒーメンをここに書く勇気

は持てない。その例会の選で、

                  禅寺洞選

            スチームは奏で南京鼠(マウス)は恋を得ぬ

            前肢もてものかかえ喰む南京鼠(マウス)あわれ

      
                  一柿選

            ささやかな南京鼠(マウス)の母子に綿をやろ

 とこれが昭和十二年四月号の「天の川」誌に十年振りで出た涯子の名である。一柿選の分の作

品の冒頭は「硝子器の・・・・・」とばかり覚えていたが、「ささやかな・・・・・」で一柿がとり、それが

「天の川」に出てるのならそれが原作であったとしなければならぬが、冷やかな硝子器の中で小指ほ

どの無毛の芋のようなマウスの赤ん坊とその母。「硝子器の・・・・・」方がぼくは好きだが原句は一

柿選の通りとしなければなるまい。



 その席で禅先生はほめてくれた。「今日は一柿も影草もカタ無しだな」と。禅先生という人は滅多

に人をほめる人ではないが、これが最初で最後の僕に対する「オホメコトバ」だった。僕を俳句の

世界によびもどそうとする禅先生の謀略であったかも知れないし、意固地な僕は禅先生もまた「御

世辞をいう人だったか」とも思った。次の句会で、


           ジャズ清く白い茶房を渡りゆく

 というのを出した。あの頃のジャズの世界は可なり騒々しかった。ジャズと云えばぼくはガーシュ

インのラプソディ・イン・ブルーを今でも想いだすのだが、今日のジャズはすでにクラシックと競うほ

どの高さに到達してもいるようだ。

 数年前岸本マチ子と共に調布の井上光晴を訪れたとき(彼はジャズ音楽レコードの蒐集家だが)

彼が聞かしてくれたジャズ(名前は忘れたが)はそこいらのクラシックよりずっと澄みきっていた。ま

さに「ジャズ清し」。

 

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  1. 2006/01/19(木) 07:53:57|
  2. ■ 『黒の回想・わが俳句遍歴』 阪口涯子
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