■阪口涯子の俳句

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●黒の回想 わが俳句遍歴 (65)


写真 「ツルウメモドキの花」 2006・5・6  酒匂川にて


 

          黒の回想 わが俳句遍歴 (65)


11・9(日) 曇  つづき

昭和十六年七月、慕情六十二才だったと記憶する。
初めて会ったのだが、慕情の横顔はすでに夕べのさざ波がたち、耳がすこし遠かった。

慕情赴任二年弱で、慕情とは何の関係もない他の事情で僕は永年勤めていたそこを辞め、
白系露人その他外人の巣くう南山麓で開業したのだが・・・・・・


 高齢の慕情が戦争の最中に、二十才位の男の末っ子一人を連れて、
何故黄海を越える気になったのか。

漂泊の想いや生活(なりわい)やーーある種の人は遥かを渡る候鳥とその想いを
一つにするのであろうか。

ぼくがその慕情の年齢を更に越して、平戸海峡をホテルの窓から三、四日眺めているうちに、
突如天啓ひらめくように、船に乗って世界の海を見ようと志したことを想い泛べると、慕情の行為が
解るような気にもなる。

それにも一つ、青年軍医時代の慕情は旅順で制服やサーベルのまま白昼からの
耽溺生活を送り、そのために旅順を去る羽目になったと僕に笑って話したことがあり、

老来孤独の慕情の胸にあった若い日の華やかな想出が旅大地区に慕情を抱きよせたのかもしれない。

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  1. 2006/05/15(月) 07:00:36|
  2. ■ 『黒の回想・わが俳句遍歴』 阪口涯子
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