■阪口涯子の俳句

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● 黒の回想 わが俳句遍歴 (76)


写真 「源平小菊」別名・ペラペラヨメナ・エリゲロン  2006・6・1 K駅近くにて



           

黒の回想 わが俳句遍歴 (76)


11・9(日) 曇  つづき

絵や俳句や漢詩や独乙語やその他映画や、慕情のディレッタンチズムは間口も広く奥行きも深かった。
そして寒い程の質素な生活のはるか彼方に慕情作品は芸術至上主義的に輝いていた。
敗戦の少し前、恐らくこの辺が俳人慕情の絶筆かと思はれる、飛行機雲を描いた句文を紹介しよう。

「高層寒冷の空氣にあたって機ガスが凝結して霧氷のように現出する洵に美麗なる帯雲である。
あるときは薄れ青みてその清冽孤高の姿をみてはまた戦の美しさを想ったりした。
帯雲の尖端をきって一点の飛機は白日の下に黒く輝いていた・・・。」

次に飛行雲という言葉が詩語でない、航雲或いは隼雲と名付けたらとの文章が続いていて、
次の句が載っている。

        
          隼雲にいどむ泥濘行は地上

          隼雲のとぎるゝときの雲青し

          飛行雲放たれ玉の児を挙げる


 この句文「鶉」に載ったのが僕の引揚時のメモ帳に書きのこされていたものだ。
「鶉」は先日も「三角点」の河内俊成から尋ねられたが一冊も持合せがない。

僕自身ひどく欲しいのだが、おそらく内地には渡って居まい。

 慕情のこの句文、いささかミリタリズムの匂い無しとしないが、句、文とも美しい。
泥濘行の人は軍隊ではなくて、孤高な生活者慕情その人であろう。

飛行雲と地上の孤独なるものとのへだたりが充分にうたはれているし、第3句目、ある俳人への
男子誕生の祝句だったはずだが、慕情俳句の真髄がそこにある。

僕のメモ帳には、

            柳絮ながれ鳥の紺の帯ながれ

            ぼうぼうと柳絮ふるえる夜の爆音

などがあった。
         
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  1. 2006/06/06(火) 07:30:35|
  2. ■ 『黒の回想・わが俳句遍歴』 阪口涯子
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