■阪口涯子の俳句

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●黒の回想 わが俳句遍歴 (88)


写真 梅雨のノボロギク  2006・6・26



           

黒の回想 わが俳句遍歴 (88)・・・・・・・阪口涯子

      
1981・1・17(土)  雪時 つづき

戦後の「長い口語俳句」のことを書かねばならぬが、その前に一寸と一休みしたくなった。

      アロン ⑥

「憲兵隊長の家ならこの隣でしたが、隊長はもう居ませんよ」
彼らの眼は急に輝きを増します。将校の命令で自動小銃たちはセパードの様に

隣家へコンクリートの塀を乗り越えます。
やがて諍いに似た言葉、物の割れる響き、三十分も経って静かになったあと、たえだえに
聞える啜泣き。

周囲の家には一つの燈火もありません。
けれど恐らくみな一人一人聴き耳を聳てて居ることでしょう。

「言わねば宜かったネ」と怖えた妻や子供たちに私は申します。

翌朝訪ねると、隣家は老いた女中さん一人を残して既に退去して居ました。
事実隊長は既に居なかったのです。

物の壊れた響きは、隊長捜査の末、ストックのウィスキーを飲んで彼らが暴れた響きだったのです。
女中の話によれば夫人たちに怪我は無かったらしいので私は少し安心しました。

けれどあの遠い晩秋の蟋蟀の唄に似た啜泣きは、或いは一生私の心の翳りになるかもしれません。
それは譬え、憲兵隊長夫人としての驕慢が一瞬地響きたてて崩れ落ちた

その悲しみに過ぎなかったとしても。・・・・・

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  1. 2006/06/30(金) 08:31:40|
  2. ■ 『黒の回想・わが俳句遍歴』 阪口涯子
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