■阪口涯子の俳句

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●黒の回想 わが俳句遍歴 (106)


写真  向日葵  2006・8・3  近所にて
 


           

黒の回想 わが俳句遍歴 (106)・・・阪口涯子

      

1981・1・17(土)  雪時 つづき

戦後の「長い口語俳句」のことを書かねばならぬが、その前に一寸と一休みしたくなった。

      アロン (24)

 日本降伏一周年の夜。

アロンはコーリャやミーシャたちと腸詰や卵や菓子や酒や
抱えきれぬ程小脇にしていそいそと帰ってきました。

これから楽しい水入らずの宴会だと言う訳です。

 卓上にその御馳走を一杯並べて乾杯乾杯。

少し飲んだメリーが腹に据えかねて啖呵を切り始めました。

 「ソビエトの大嘘つき奴!」


アロンもコーリャたちも目をみはります。


 「そうではないか。何もしない日本人の所にやってきてダワイダワイ。

一体ソ連と日本は戦争をしないという条約を結んでいたはずではないか。

日本の弱り目につけこんで一体何が勝利なもんか」


同座していたメリーの叔母さんや私の妻も


「そうだ、そうだ、約束が違いましょう。ソ連キレイでない」
とせめたてます。

「解ってる。それを言うな。そのことは自分たちもよく知っている」


アロンは今は懸命になって宥めます。

メリーは酒のせいか逆上して卓を引っくり返しました。

全くの盃盤狼藉です。その盃盤狼藉の中で、
アロンもコーリャも目に涙をためて、


 「解ってる。それを言って呉れるな」と頼みます。

スラブの純情を私は目のあたりに見せつけられました。
私たちの負けです。


それにしてもメリーの逆上は度を超えたものでありました。


私達あのころはみな頭が変だったのでありましょうか。


 (自註/これは昭和25年、古川克己氏の「俳句往来」創刊号に
  載せた旧稿に加筆したものである。)
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  1. 2006/08/07(月) 07:39:58|
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